ラスト・パッセンジャー 第40回

番組名:ラスト・パッセンジャー 第40回
「パリからの電話 篇」
放送日:1983年11月26日 【再放送: 1983年12月2日 / 1985年11月9日】
出演者:ナレーター 城卓也(B81吉田) / 電話の女 村部志津枝(B81)
スタッフ:スクリプト 吉田卓也(B81) / 構成 芦川新 / 技術:三木佐太郎(どちらもB80佐伯)

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第5シーズン「吉田-芦川」ラインの代表的なラスパセ。
「ルイアームストロング篇」、そして88年の特番として往年のラスパセOB軍団で作られた「最終回・荒野の私」と合わせて、番組マスターの4tr2chマスターが残っていた3本の内の一つ。
いずれも、テーマソングがQJPのヴェラスになってからのラスパセの中心的制作スタッフの芦川新(佐伯)が保存していた。

この回の放送は、82年放送学科ラジオ実習作品であるラジオドラマ「パリ行き最終便」(渡辺淳一原作)にインスパイアされた内容となっている。
「パリ行き~」のあらすじは、元恋人からのパリ出張の連絡をもらった女が、元彼への未練を捨て切れずに、アムステルダムからパリへ不倫旅行に向かうかどうか躊躇するという内容のもの。

その内容からインスパイアされた吉田は、では「パリで恋人を待っていた男は?」という設定を基本として、SON的な設定もモチーフにしながら、録音当日に一気に書き上げた。
選曲担当の芦川(佐伯)は、その原稿を横目で見ながら、手持ちの楽曲から3曲を選曲。
こうして、カントリーライクな春日局で録音されながらも、アーバンオリエンテッドな雰囲気の、第5クールのラスパセらしい仕上がりの番組が完成した。

なお、翌週の12月2日は、新作が間に合わなかったのか、同じ内容が放送されている。
マスターテープも、一旦11月26日の日付けが書かれた上から消して、12月2日の日付けが記入されている。

したがって、この回が第5シーズン最後のラスパセではないかと思われる。

音源は富山遺跡発掘の番組マスターテープからの起こし。

【2013年6月3日追補】
その後の調査により、B80ラジオ実習「パリ行き最終便」に触発されて作られたこの「ラスト・パッセンジャー~パリからの電話」篇は、ラスト・パッセンジャーとして第40回の放送である事が判明しました。


2010年1月29日(金) 16:02 芦川新 (B80-036)

実はこの回は佐伯の思い入れの強い回で、卒業後も長い間マスターテープを大事に保管していたもの。
吉田のスクリプトも秀逸であるが、佐伯自身はこの回の選曲が好きで「元恋人との未練を残した別れ」的なテーマとしては、手前みそながら、手持ちの曲の中でとても良い選曲ができたと、ほぼ満足していた。
特に3曲目のビル・ラバウンティ―の「スロー・フェイド」が、最後の電話の別れのシーンにフェードインするあたりは、絶妙な選曲で、今のラジオ番組には、もうこんな番組は存在しない!
と、いろいろ思い入れを書いてしまいましたが、今回は、久々に少々念を入れて音源リマスターさせていただきました。

まあ、何度も書きますが、ほぼ95点の選曲ですよね~。自分で言うのもなんだけど。(笑)

1曲目、パトリース・ラッシェンの「Foget Me Nots(忘れな草)」
LAフュージョンの草創期のキーボーディストが、ポップソウルに挑戦した名曲。このおいしさはSONきっての選曲の名手と言われた江口さんにしかわからない?
「Not Foget Me」と言わずに「Foget Me Nots」というオシャレなネーミングがたまりませんなあ。
当時の邦題の「忘れな草」もいいです。花言葉は「真実の愛」ですと。(笑)

御存じない方のために解説すると、彼女自身のヒットはこれ以上のものはありませんが、他のジャズ・フュージョン・ソウル系アーティストのセッションではあちこちに名を馳せています。
90年代のジャネット・ジャクソンのライブのプロデューサーも担当。

2曲目のエア・サプライが、「売れすぎ」アーティストだという所が、イマイチ選曲に不満のある部分。
当時「ロスト・イン・ラブ」なんて、洋楽ファンでなくても知っているような曲だもの。
でもこの「オール・アウト・オブ・ラブ」、英語力がイマイチなんでなんですが、ニュアンスからすると「愛が終わってしまった」的な意味?
それに冒頭の歌詞が多分「僕は電話を持ったまま孤独に泣いている。君の事を想いながら。」って感じでしょ!?
こりゃ、いくら売れすぎアーティストでも、この回のラスパセに使わないでいつ使うの!って所です。

そして3曲目の「スロー・フェイド」
バックにスティーブ・ルカサーやジェフ・ポーカロっていやあ、ほとんどTOTOじゃあございません事!?
って、TOTOを使わないで「ビル・ラバウンティー」を出す所が芦川-吉田のラスパセのおいしい所なんですぜ!
またまた英語力のないので間違ってたら申し訳ないのですが、「音楽の最後のパートのように『さようなら』って言って彼女が去って行った」なんて、このスクリプトにぴったしじゃないですか!

ビル・ラバウンティ―というお名前を御存じない方も多いと思います。AORの一発屋的なアーティストですが、コアなファンは多い人物です。
79年頃に「涙は今夜だけ」がスマッシュヒットし、翌年にマイケルジャクソンがカヴァーして日本でヒットしました。
1990年頃に日本のテレビドラマのテーマに使われたので、聞き覚えのある方も多いと思います。

実は第5シーズンのラスパセには「涙は今夜だけ」も使っているのですが、この回はやっぱり「スロー・フェイド」がぴったりですよね。


4月 15, 2024

Posted by B80-036