カセットテープのスピード違いを修正するには?

カセットテープというのはそもそもヨーロッパのPHILIPS というメーカーが考え出した規格なんですが、
規定されているテープスピードは 4.8cm/sec (1秒間に4.8cm)テープが進むと規定されています。
ただし、民生機として考えられているために、+2%~-2%の範囲でテープスピードが違っていても良いという「甘い」規格となっています。
そのため、録音した時のテープレコーダーと再生した時のテープレコーダーの微妙な速度の違いで、最大4%程度の違いがある可能性があります。

まあ、そこまで極端な事はあまりないのですが、時々、聞いていても違和感のある場合もあります。

SONの放送一本化テープも、ARS,KRS,AIRSなど作成された局のデッキと、研究所でMDにコピーを実施した時のデッキの違いで多少の速度の違いがある可能性があります。
ほとんどの場合はあまり気にならない事から修正はしていませんが、気になる場合は修正することがあります。

左の画像は、「Pitch&Time Shift」という昨日です。
Pitch Shift は「ピッチ」音の高低を修正
Time Shift は「タイム」つまり時間の長さを修正します。
元の音源の長さは ORIGINAL の欄に 14:48.159 (約14分48秒)
PROCESSED が 14:30.744 (約14分30秒)修正後の時間が 14:30になるという事です。
UNITS の SPEED のダイヤルを 102.00% にしています。
つまり、元の音源よりも時間の進み方を2%あげることにより、18秒程時間が短くなることを指しています。

アナログなカセットテープでは、速度を上げると勝手に音のピッチ(高さ)も同期して上がってしまいますが、
デジタル処理では、時間を早めてもそのままではピッチは変わりません、したがって、テープの速度を上げても音は遅い(本来の音よりも低いピッチ)ままになってしまいます。
そこでデジタルの場合ではピッチも同じ分を修正する必要があります。
上記の画像、PITCHの項目を SHIFT 102.00% として、カセットテープと同じように音のピッチも早めます。

こうして、テープスピードに違和感がある場合に、修正を施す場合があるのです。

※デジタルは万能ではない

こうして、デジタル処理ではいろんな事ができますが、決して万能なわけではなく、このような修正でも、波形の動きをいじってしまうために、多少の音質の劣化は生じます。だから「修正しなくてもいい場合は触らない」事が大原則です。
「修正は最小限に」という心得が必要です。

9月 13, 2024bbs,テープ,研究所

Posted by B80-036